私たちの暮らしに大きく関わっている税金。
令和4年12月16日、政府与党から令和5年度税制改正大綱が発表されました。
家計の資産を貯蓄から投資へシフトさせ、資産所得倍増につなげるためのNISAの抜本的拡充・恒久化など、改正後の内容について一部を紹介いたします。
1.NISA制度の拡充
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。
NISA制度は、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益や受け取る配当が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。
令和6年(2024年)以降は、このNISA制度が大きく変わります。
「資産所得倍増」「貯蓄から投資へ」の観点から、期限のあった非課税保有期間が無期限となり、口座開設可能期間についても期限が設けられず、恒久的な制度となります。
そして、一定の投資信託を対象とする長期・積立・分散投資の枠(つみたて投資枠)については、年間投資上限額が120万円に拡充されます。
さらに、上場株式への投資が可能な現行の一般NISAの役割を引き継ぐ「成長投資枠」が設けられ、その年間投資上限額は240万円となり、「つみたて投資枠」との併用が可能となります。
また、1,800万円の非課税保有限度額が新たに設定され、「成長投資枠」については、その内数として1,200万円が限度額となります。
(財務省HP)
2-1.相続時精算課税制度の見直し
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
若い世代へ早いタイミングで資産を移転し、その有効活用を通じた経済社会の活性化を目的として平成15年(2003年)度に導入されました。
現在、累計贈与額2500万円までは贈与税がかかりませんが、令和6年(2024年)1月以降は、制度を選択後も毎年110万円以下の贈与については非課税となります。
また、本制度を利用し贈与を受けた土地・建物が災害により一定以上の被害を受けた場合は、相続時にその課税価格を再計算することができるようになります。
2-2.暦年贈与における生前贈与の加算期間の期間延長等
現行の制度では、相続開始前3年以内の贈与が相続税に課税されますが、令和6年(2024年)1月以降の贈与より、相続財産に加算する期間が7年に延長されます。
また、延長された4年の間に受けた贈与のうち総額100万円までは相続財産に加算されないことになります。
(財務省HP)
2-3.教育資金の一括贈与 期間延長
父母や祖父母など(直系尊属)から30才未満の子や孫に教育資金を贈与した場合、一定の要件により受贈者1人につき、贈与税が1,500万円までは非課税となる制度です。
令和5年(2023年)3月までとされていましたが、適用期間が3年延長され令和8年(2026年)3月までとなります。
2-4.結婚・子育て資金の一括贈与 期間延長
父母や祖父母など(直系尊属)から20才以上50歳未満の子や孫に結婚・子育て資金を贈与した場合、一定の要件より受贈者1人につき、贈与税が1,000万円までは非課税となる制度です。
令和5年(2023年)3月までとされていましたが、適用期間が2年延長され令和7年(2025年)3月までとなります。
(財務省HP)
3.エコカー減税の見直し
エコカー減税とは、国土交通省が定める環境基準を満たした、燃費・排ガス性能など環境性能が優れている自動車に対して、それらの環境性能の高さに応じて、25〜100%の自動車重量税の減税を受けられる制度です。
本制度について、新型コロナウイルス感染症等を背景とした半導体不足等の状況を踏まえ、令和5年(2023年)末まで据え置きとなります。
据え置き期間後は、政府により「2035年までに乗用車新車販売に占める電動車の割合を100%にする」といった目標が掲げられていることから、制度の対象となる2030年度燃費基準(以下2030基準)の達成度の下限が3年間で段階的に80%まで引き上げられます。
3年目に制度の対象外となる2030基準75%~80%達成車について、激変緩和の観点から、1年間に限り本則税率の適用対象とする経過措置が設けられています。
電気自動車等の極めて燃費水準が高い車について、購入2年目以降の2回目車検時も免税の対象となります。
(財務省HP)
まとめ
令和5年度(2023年度)税制改正大綱のうち、個人に関係する部分に絞って解説しました。
私たちの生活にも大きく影響する内容ですので、必ずチェックしておきましょう。
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