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2024.07.29

地震保険の大切さを再確認しましょう



2011年3月11日に発生した東日本大震災。それまでの常識を一瞬にして変えてしまった出来事でしたが、年月の経過とともに人々の記憶から薄らいでしまっているのも否定できません。大震災を経験した私たちは、そこで得た教訓を大切に守り、伝えていく義務があります。そこで今回は、東日本大震災やその後に発生した大地震の際に現場対応に当たったマンションの担当者の声をもとに、当時のことを振り返りながら「地震保険」について改めて考えてみましょう。



「地震保険に加入していてよかった」の声

地震保険は、火災保険では補償の対象とならない、地震等を原因とした損害を補償する保険です。マンションでは一般的に、専有部分は区分所有者が、共用部分は総会での承認に基づき管理組合がそれぞれ地震保険に加入しますが、共用部分の地震保険は「よほど大きな損害でなければ満足な金額が支払われないのではないか」「加入までの合意形成が大変なのではないか」という心配からか、なかなか加入が進まないのが現実なようです。
 
または「地震保険は大切」と認識する一方で「まだ大丈夫だろう」「自分たちの地域では地震は起こらないだろう」という潜在意識が働き、加入に二の足を踏む管理組合もあるでしょう。
 
しかし、地震の大きな揺れによりマンションの主要構造部が損傷を受けると、一度に多額の修繕費用が必要となります。「やはり地震保険に入っておくべきだった」と後悔しても、発生してからではどうしようもできません。


東日本大震災発生当時、仙台エリアのマンション管理にあたっていた当社の担当者は、次のように振り返ります。
「地震保険は火災保険や自動車保険等とは異なり、政府と民間損害保険会社が共同で運営している保険で、被災後の生活再建を助けることができますが、損害の程度に応じて地震保険の保険金額の一定割合を乗じた金額が支払われるため『損害が発生しても保険の適用とならないこともある』=『損をしやすい』と考えられてしまう傾向があるように思います。確かに東日本大震災以前は、地震保険未加入というマンションも少なからずみられました」


【地震保険の損害認定基準について】

区分 損害の程度 保険金の支払い
全損 ①主要構造部の損害額が建物の時価額の50%以上
②焼失または流失した部分の床面積が建物の延床面積の70%以上
建物の地震保険金額の100%
(時価額が限度)
大半損 ①主要構造部の損害額が建物の時価額の40%以上50%未満
②焼失または流失した部分の床面積が建物の延床面積の50%以上70%未満
建物の地震保険金額の60%
(時価額の60%が限度)
小半損 ①主要構造部の損害額が建物の時価額の20%以上40%未満
②焼失または流失した部分の床面積が建物の延床面積の20%以上50%未満
建物の地震保険金額の30%
(時価額の30%が限度)
一部損 ①主要構造部の損害額が建物の時価額の3%以上20%未満
②建物が床上浸水または地盤面から45cm を超える浸水を受け、損害が発生した場合でその建物が全損・大半損・小半損・前記①の一部損に至らないとき
建物の地震保険金額の5%
(時価額の5%が限度)
※「主要構造部」とは、建築基準法施行令第1条第3号に掲げる構造耐力上主要な部分をいいます。
〈非木造の鉄筋コンクリート造の場合〉
・ラーメン構造:柱(柱・はり接合部を含む)・はり
・壁式構造:外部耐力壁・外部壁ばり
・中高層壁式ラーメン構造:長辺方向は、柱(柱はり接合部を含む)・はり、短辺方向は、外部耐力壁・外部壁ばり



「地震発生時、すでに地震保険に加入していたマンションの管理組合からは『地震保険があったからスムーズに修繕を行うことができた』と感謝のお言葉をいただくことがありました。一方で、地震保険に入っていないマンションの管理組合からは『なんで地震保険の加入をもっと強く提案してくれなかったのか』などとお叱りのお言葉をいただくこともありました。
もちろん、私たちが管理するすべてのマンションに加入のご案内はしていたのですが、実際に加入するかどうかを判断するのは管理組合です。役員の方が定期的に交代するマンションでは、新しく役員になられた方にその内容が引き継がれていないといったことなどが原因で、未加入のままになってしまっていたところがありました」
東日本大震災は、マンション共用部分の地震保険の必要性を高めた大きな転機となりました。現在、当社が管理する仙台エリアのマンション(注①)では、全管理組合が地震保険に加入しており、地震対策に役立てられています。


(注①)当社がマンション総合保険の保険代理店となっているマンション(2024年1月末時点)



修繕資金を返済し続けるマンションも

地震保険の加入を躊躇する管理組合には、その地域で大地震が発生する確率と地震保険の保険料負担を秤にかけ「万が一、地震が起きても修繕費で賄えばいい」という結論を出すところもあるようです。
しかし前出の仙台エリア担当者はこのように指摘します。
「東日本大震災時に地震保険未加入で、大きな損傷を受けたマンションの中には、復旧工事をするために多額の借金をしたところもありました。中には被災から10 年以上経過した今でも返済を続けているマンションもあると聞きます。返済中は十分な設備投資もできず、毎月利子を含めて支払わなければいけないというのは、マンションにとってとても不幸なことです」
一方で、2021 年、2022 年と2度の大きな揺れが襲った福島県沖地震では、次のような出来事もあったと、福島エリアの担当者は語ります。
「ちょうど大規模修繕工事直後に2度の地震に見舞われたあるマンションでは、億単位の資金を大規模修繕工事に使ったのちに、地震による被害の補修のために1千万円ほどの追加修繕資金が2度も必要となりました。そのマンションの理事の方は『地震保険に加入していなければ、資金的にとても危険な状態になっていた』と話してくれました」
そのほかにも、震災前から地震保険に加入していたマンションでは、地震保険により十分な資金を得て修繕を完了させ、さらに余剰が発生したことにより、長期修繕計画では予定していなかった改修に充てたり、コロナ対策などその後に発生した緊急時の資金として役立てることができたという事例もありました。


地震保険に加入しているかどうかで、マンションの資金面でのリスク管理で大きな違いが出るのは明らかです。地震被害の修繕資金は数千万円単位にも及ぶことがあり、それらを貯めるには多くの時間を要します。修繕ができない状況が続けば、その間にまた大きな地震に見舞われ、さらに大きな被害が出ることも考えられます。いつ、どこで発生するかわからない大地震。大きな損害が出てしまったときのための備えは常に用意しておくべきなのです。


※本案内は、地震保険の概要を説明したものです。個別の詳しい補償内容については、取扱代理店までお問い合わせください。
 

 
【損害保険代理店】
大和ライフネクスト株式会社
107-0052 東京都港区赤坂5丁目1-33
TEL:0120-75-0032
<受付時間>
平日:午前10 時から午後5 時まで
https://www.daiwalifenext.co.jp/hoken/contact/manshoncontact.html
(2024年3月承認 B23-104268)